私は映画が好き。父が若い頃持ち出した8ミリのおかげで、映像や投影は特別。
不思議と年初め一月、響く映像三つとの出会い。
24日、昨年見たかった映画をやっとみた。それを、今年のお正月映画にしようと思って
いたのに、石川ではやっていなかった「おくりびと」。
先日TVなどでも賞候補で話題でしたが、私は子供の頃の好きな芸能人と言えば彼、奇抜で
気になって好きだったモックンが自らあたためた作品。中沢新一氏もコメントしたりして
いて、見る前からインプットがあったにも拘らず、心が動かされる。お正月に実家で、
年老いた両親と会った後でもあったからか、後はぼんやりして、死を思い、鳴った音が
止むまでいる。
25日、「シャーマン」という映画を見にエルメスでやっている上映会へ。
馬を盟友として生きる人の話。ドキュメンタリーかと思い込んでいたので、そうではない
と判った瞬間、期待も何も無かったけれど、とてもいい映画だった。きっといろんな映像
作家に、この作品は影響しているのではと思った。
「ドキュメンタリーでは無いところ」が、どこか切ない魅力になっていた気がする。
そんな、距離をもどこかいい感じで、口琴の音色とともに響いてくる。
小学生の頃読んだ、ガリバー旅行記の馬の国のようで、不思議でとても美しかった。
私の友人みんなにこれをお薦めしたい。
もうひとつ、さわひらき展@オオタファインアーツ。
冬の冷たい空気に似合う、めぐる終わりのない世界。不思議と心地良くて、美しくて、
モノクロームなのに私には色が見えるよ。何だか、軽く嫉妬を覚えるような、何故なら
ジェントルないつも明るい雰囲気の彼本人から、すっと飛び越えるんだから。
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東京に戻り、雪の無い世界、といつもの部屋、距離感にあっという間に、合う私。
狭い部屋に大きな荷物だけが不具合でかわいい。そして、束の年賀状たち。
17日、スレイドの友達daleのレセプションへ。私は彼女のパフォーマンスがとても好き。
歳は同じくらいだけど、スレイドでは先輩。卒展で見た時に痺れたのを覚えている。それで、
今回タケニナガワでのレセプションでのパフォーマンスと聞いて嬉しくて駆け付ける。
久しぶりに会った彼女は少し日に焼けていて、故郷の南アフリカに居たとの事、相変わらず
自然体がとてもチャーミング。パフォーマンスは期待通りとても素敵で、もっと聞いていた
かった。そして、終わった後彼女はスマイルとともに演奏の一部であるビー玉をくれた。
真直にいいものに触れられるのはほんと宝。そんなアーティストに社会に出る前に出会えた
事も宝。もうひとり、忙しくてなかなか会えずにいた同じスレイドの、大好きShihokoと
一緒に。
ラーメンをすすり、水餃子を食べて、
東麻布は、東京タワーがビカーっと光っていた。
伊勢丹2Fへ東京の乾燥に怯え冬のオーガニックな保湿を求める。その化粧品の品数の
多さに軽く嬉しい目眩い、人の多さに苦しい目眩しここでは「不況」など嘘のようだ。
揺り戻すように、思い出す地元のパン屋さん。オープン当初、新しい物好きの父も元気な
時はよく通ってたみたい。国産小麦+自家製天然酵母。こんな田舎でベルギーで食べてた
のに負けない田舎パンが食べられるなんて。帰る度、依存度は増すばかり。
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Study in Mixed Accents...
タイトルもいい。
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年明けて、日差しもどこか真新しい。
お雑煮やおせち、お正月らしさを堪能し、去年の今頃は大雪の中キャンバス作り
だった事を思い出す。今年の地元の草餅は絶品で有機きな粉であべかわ餅が我が
家で一大ブーム。小学生の年賀状によくある「 おもち食べ過ぎ注意!」の気持ちが
今になってわかる。
3日、帰省から戻ったときたまさんからアマリリスの成長報告が届いて嬉しくなる。
そして、junjunからも帰ったら咲いてた報告、喜。
SALINA(サリーナ)というナポリピザ屋さん、そのお祖父さんが営む能登のあげ浜塩田の
お塩とモッチリさくさくなありそうでないピザらしいピザとの家族コラボが美味しい。
天気がよくて朝から車を飛ばし山のなかの温泉。380円。
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金沢21世紀美術館へ、前にも書いた事があるけれど年始の美術館は何故かとても
気持ちがいい。杉本博司歴史の歴史を見に行く。こどもの頃、歴史=苦手だった
にも関わらず、渡欧などしてる間に、今を生きる人の続きにある歴史の深さを
体感し、今では何を見ても興味津々。きっと未確認であればあるほどに、思いは募る
のでしょう。この地がhollyである所以の待望の十一面観音像が海原の写真と一緒に。
神仏習合のダイナミズムを抱えながら、どんな場所に居ても、例えば現代建築の真
只中にあっても、そのものは変わらない、そんな崇高さ美しさにしばらくうっとり
時を共にする。そして同時にコレクション展へ、そこで作っていた奈良さんの部屋
の壁が切り取られ展示されていて痺れる。こんなふうに存在する感じ、写真やレポート
では絶対伝わらないだろうと憶う。
benlly'sの田中さんたちに新年のご挨拶。ここに来ると帰ってきた感じがする。
留学中もそうだった。そして出会ったお花のリングを私物にしてしまったお買い初め。
高速飛ばして遊びに来てくれたペルーと二度目の初詣をして二度目のおみくじを持って
二三味コーヒーを飲みに行く。楽しいからあっという間。
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CommandNの映像作家ミツ君がうちに徒歩でやって来た。なにしろ同じ小中学校
なのだから。いろんな共通点に話は盛り上がって、いろいろ面白がる私たち、
小さな町のローカルなひと時と未来の話。とてもよい。
7日は七草がゆで、脱お正月ムード。
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そうして作業を再開した頃、激しい落雷とともに一転俄に風花舞う銀世界。
大気の水がキラキラの雪の結晶になるように、漂うなかから出会ってくっ付いて
積み重ねて、きれいな軌跡を創れるといい。
向き合う心のゆとりと、思う存分やるための段取り:そんな今年の実践的テーマを表す
ようなcristalsのはじまり。
二〇〇九年 元日 <雪>
新年あけましておめでとうございます。
いつもの午前零時の初詣も、今年はちょっと特別。
いつの間にか来ていた厄年のお祓いをしてもらおうと、着物に着替えて日が昇ってから
出掛けました。母からの贈り物、娘孫三代までも着られると言う渋い大島紬も今では、
年相応。周りの着物上手な方の影響からか私も着てみようと思い立ったのですが、不思議
と気も引き締まってとてもいい感じ。何となく七五三のような大きくなったね〜の気持ち
で感慨深く、珍しく記念撮影しました。
お祓い終わって気分は爽やか、帰りにおみくじを引いたらなんと!大吉でした。嬉嬉。
これまで来られたのも、一期一会とこうして皆さんにお世話になりましたおかげです。
と、感謝の気持ちでいっぱいです。益々、気を引き締めて自分の出来る事、励みたいと
心に誓うのでした。みなさま今年もどうぞよろしくお願いします。
